豊島御休憩所

石神井公園の三法寺池側には、豊島御休憩所という茶屋がある。風情があるというと、そうともいえるが、単刀直入に言うなら、バラックのような店、といったほうがしっくり来るだろう。屋根はトタンだし、テーブルはその辺のそばやの使い古しのようだ。
しかし、やはり風情がある。なんというか、落ち着きとか、和みとか言った感覚がここでは味わえる。店の中と外の境界は無い。人がいなければ、カラスの大群が舞い降りてきそうな、開けっぴろげの店である。
ラーメン600円、缶ビール450円。今日はそれにした。いつもはモツの煮込みを頼むのだが、昼飯にはちょいと少なすぎる。
店の外に出て、初めてまじまじと佇まいを眺めると、一応カンバンがついていて、「豊島御休憩所」と書いてあった。おそらく誰も気に留めていないだろうし、そんな名前がこの店にあることさえ知らないだろう。
豊島というのは、1500年ごろこのあたりを治めていた殿様の名前に由来しているらしい。その名を借りているからには、由緒ある茶屋だと思い、主人に創業年を聞こうと思ったが、昼になってにわかに忙しそうにしていたのでやめてしまった。今度立ち寄ったら聞いてみようと思う。