小説フランス革命(1)-革命のライオン
小説フランス革命(1)-革命のライオン、佐藤賢一、集英社
あまり話題になっていないのか、はたまたもうブームみたいなものが過ぎ去ったのか、近所の練馬区立図書館では難なく予約で借りることができた(人気沸騰中の書籍だと予約をしても当分は貸し出しされない)。
歴史小説が好きな人でまだこの本を読んでいない人にはぜひお勧め、だな。たとえば次のような作品を読んでいる人...
- ローマ人の物語、塩野七生
- ワイルドスワン、ユアン・チャン
- 大国の興亡、ポール・ケネディ
小説フランス革命はまだ3巻までしか出ていないようだが、どうやら全10巻くらいになるらしい。第1巻目では、1787年、当時の財務長官ネッケルがルイ16世に呼び出される場面から始まる。そして、ミラボー、かれが革命のライオンとして登場する。やがて混迷の中で、第3部会が国民議会として成立し、議会成立に尽力したミラボーが病で倒れる寸前、後継を若きロベスピエールに託そうとするところで終わる。
この当時、フランスの状況は国家財政が逼迫しながらも、貴族や聖職者たちは自分たちに適用される増税政策に反対し、民衆がそのあおりを食っていた。しかし、国王も第1部会(聖職者)、第2部会(貴族)もネッケルの経済政策に反対し、改善の兆しはまったく見えない状態だった。
これって今の日本の状況に結構近いところがある。ような気がする。累進課税が緩和され、企業や富裕層に有利な政策がしかれた後、結果的に国家経済が逼迫しても富の再配分がなされるような措置をせず、一律に税金をばら撒く政策に終始する。今の官僚や政治家たちは、フランス革命当時の貴族や聖職者たちそのものではないか。ルイ16世の無策無能ぶりも、今の首相にそっくりである。結果的に人類は何時の時代も同じ過ちを繰り返すものなのだろうか。
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