「自滅する企業」ジャグディシュ・N.シース著
今年の連休は特に予定が無い。だからひたすら本を読むつもりでいる。たしか、去年も同じことを考えていたことは事実。時間があるからといって、それほど大量の本が読めるわけではないことくらいわかっている。
ところで、今日は「自滅する企業」という本の、図書館への返却日だった。これはなんとしても今日中に読む必要がある。普通なら、斜めに読むのだが、内容が面白いだけにそうもいかなかった。
この本を一言で述べると。
「エクセレントカンパニーの現実を綴った本」
であるといえる。
実際、この本の副題は「エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病」となっている。ビジョナリーカンパニーやエクセレントカンパニーを読んだときにはあまり気にも留めなかったが、確かに良く考えたら、何時までも成長し続け、順風満帆な企業などあるわけが無いのだ。その意味では、この本はより現実的な線をついている。超優良企業の良いところをみんながまねても、超優良企業になれるのはほんの一握りでしかない。しかし、殆どの企業はどこかの時点でその存続が危ぶまれる状況に陥る可能性はきわめて高い、ということについて、著者はいくつもの例を取り上げ、警鐘を鳴らしている。
この本では、企業を人にたとえて、病気にならないように予防し、発病への兆候を確認する仕組みを組み込むべきだと指摘する。この考え方は、プロジェクトマネジメントにより近いものだと思った。結局、企業は人の集合体なのだ。どう考えても、すべてがうまくいくほうがおかしい。だからこそ、プロジェクトマネジメントで進捗遅延の兆候を管理するように、企業活動についても大企業病や官僚主義に陥っていないかの兆候を監視する必要があるのだ。
ちなみに、この本の内容は、殆どが著名な企業の失敗談となっている。時折、その会社に関する過去の歴史や、業界の変遷などがうかがえて面白い。たとえば、インドのウィプロの社名は(ウェスタン・インディアン・ベジタブル・プロダクツ)の略だそうだ。元は植物性の油脂等をインドで販売していたという。どんなビジネスをしていても成功する秘訣をいかせる人も、世の中にはいるのだろう。
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