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「人間の終わり―バイオテクノロジーはなぜ危険か」: フランシス フクヤマ

   〓 人間の未来を少々悲観的に語る 〓

 人間が生物である以上、絶滅の危機に常にさらされているのだが、中でもバイオテクノロジーは自ら種を根絶しかねない・・・と警告している本。さて、この本は、以下の3部から構成される。

  1. これから起こること
  2. 人間の根源へ
  3. 今なにをすべきか

 特に「2.人間の根源へ」では、社会や哲学的な観点から、人類がバイオテクノロジーでなせること、なすべきでないことについて言及している。著者は、本書の最後のほうでこう述べる。

我々は技術の奴隷ではない

未来に足を踏み入れようとしている我々は、新たな自由を技術で勝ち取ろうとしている。しかしその自由は今までの自由ではない。今までの、思想に基づく目的を選択自由ではなく、生物学的に、死の恐怖や苦痛から逃れる自由だ。しかし、この自由は本来我々が求めるべき自由と違うのではないか。この新たな自由のために、我々は本来持つべき価値観の選択の自由を失ってはならない。」

 この本は、日本では2002年に出版されている。結構前だが、世界が不況にあえいでいる今しばらくは、ココで語られる問題については言及されることはないだろう。むしろ5年から10年後、これらがバイオテクノロジーを応用した医療が一般的になり、そして人々がその恩恵と脅威に直接的に触れたころに、やっと社会問題として語られるのではないだろうか。

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