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アイフォニア(iPhoner)には、これがいい!:その15[Evernote]

~ いまでも使っているアプリ特集(第2回) ~
 iPhoneアプリの中で最もよく使うアプリは、実は前回紹介した「CashFlow」である。しかし、それは使っているというより、触れているという感覚に等しい。なので、本来の意味でもっともよく利用してるといえば、これ。

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〓 これはすごい、としか言いようがないアプリ 〓

 「Evernote」はかなり有名なソフトだと思うので、いままで紹介を控えていたが、iPhoneを持ったらこのアプリを入れないなんてありえない・・・的な感覚で、紹介することにしよう。実はもうひとつ理由があって、このアプリはあまりにも高機能で、紹介するには結構な文字数を要する。そのために紹介するのが億劫になっていたというのが正直なところか。
 まず、このアプリで注目すべきことは、モバイル用のプラットフォームと、パソコン用のプラットフォームが存在することだ。それぞれのプラットフォームは独立して使用できる。どちらか一方が母艦になるのではなく、両方がクラウド上に存在するEvernoteのサーバに対してアップロードと同期を行う。したがって、このアプリに限っては、iPhone用のアプリとしてではなく、グーグルアプリとローカルあぷりの中間的なソフトウェアと捉えたほうがよいであろう。
 ただし、このアプリがiPhoneなどのモバイルツール上で使用されることを意識していることは明らかだ。なおかつデスクトップ版も、USBメモリ等にインストールしてポータブルで利用できるようになっているようだ。
 Evernoteは、PC、モバイル、Webを想定した全く新しいコンピュータ環境を提供するアプリといえると思う。とにかく機能が多いために一回のブログの紹介では無理である。ひとつひとつの機能を述べても始まらない。ここでは、ある場面を想定して、Evernoteがどのように利用されうるかを紹介していきたい。

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1.旅先で記録を残して、後でホームページで紹介したい場合

 たとえば、あなたが歩いて旅をするとする。道中記を残したい。道端で見た風景や寺院を写真に撮るとする。iPhoneで写真を撮るときは、まず Evernoteを立ち上げて、Snapshotを選択する。するとカメラが起動する。このようにして写真を撮ると、写真はEvernote上に記録されるので、後から歩きながらでも写真にタイトルや、感想をテキストで追加することが出来る。テキストを打つのが面倒な場合は、EvernoteのVoice 機能を使い音声で記録するのも良いであろう。iPhone上ではとにかくデータを放り込み、後でデスクトップ上整理する。
 なんといってもありがたい機能は、Evernoteで写真を撮ると、位置情報も同時に記録されることである。実際には写真だけでなくテキストも作成した時点での場所が記録される。位置情報はiPhoneであればGoogleMap上に表示される。逆にGoogleMapを表示させ、位置情報からノートを検索することも可能になっている。PC上ではGoogleEarthに位置情報が表示されるようだ。
 実は、Evernoteには旅先での利用を想定したと思われる別な機能が含まれている。それは、写真上の英文字をスキャンしてサーチできることだ。この機能は、PC上でもiPhone上でも使える。おそらくEvernoteのサーバ上にアップロードされた写真を解析しているのだろう。写真がアップロードされた時点で写真からテキストを抜き出してインデックスとして登録しているとすれば、合点がいく。なにしろ検索に時間がかかることはなく、通常のテキストと同じくらいの速さで写真を検索するのだ。
 この機能は、たとえば海外で店の看板や駅名、レストランで注文したワインを写真に取ったときには便利だ。ワインのビンに書かれた英字はゆがんでしまうが、それでもある程度はローマ字として検索される。検索されたデータから、《いつ》ということだけではなく《どこで》もリマイドできる。私自身は殆ど海外には行かないので、そういう使い方はできないのなだが。ちなみに、手書きの文字でも解析できるらしい。
 ただし、当然日本語は検索できない。どうやら写真上に横書きの文字らしきものがあれば認識するようだが、日本語の場合はでたらめなローマ字か数字として解析されているようだ。その証拠に、数字で検索をかけると日本語を含む写真がヒットする場合がある。

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2.Web上で情報を検索して、とりあえずクリップしておきたい場合

 PC版のEvernoteをインストールすると、ウェブクリップ用のアドオンが同時にインストールされる(同時ではなかったかもしれない)。使用しているブラウザのツールバー上にエバーノートのアイコンが登録されて、以降はクリップしたいページを表示した状態でこのアイコンをクリックすると、WebページがほぼそのままのレイアウトでEvernoteに登録される。これらのページはiPhone上のEvernoteとも同期を取るので、後で暇なときに Webページを読むことが出来るわけだ。気になる記事は片っ端からクリップしていけばよいのだ。整理は後で行えばよい。
 とにかくWeb上には情報が氾濫している昨今だ。検索はPCで行い、とりあえずクリップしておいて、後で時間のあるときにiPhoneで閲覧するというのは、殆どの人が思いつくiPhoneの活用方法だと思う。それをEvernoteが実現してくれる。

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3.iPhoneでテキストメモを作成して、PCでまとめる

 私が書籍の書評をブログに書くときは、この方法を利用している。読んだ本から引用したい部分をiPhoneでEvernoteに登録しておいて、あとでそのメモをたどりながら書評を書くスタイルだ。こうすると、本を読むのに多少時間がかかるが、感想をまとめるのは楽になる。それに、あとから気になる事が書いてあったページを探すよりはよっぽどよい。一度転記してしまえば、あとから重要な項目として本の内容を思い出すのにも役立つ。
 たしかに、iPhoneのフリックを使って文章を入力するのは大変であるが、PCをいちいち立ち上げる時間を考えると、それほど差は無いと思う。それに、どこで本を読んでいても、iPhoneがあればすぐにメモを取れる点も、この方法に完結した理由である。
 ただ、唯一のEvernoteの欠点は、PC上の動作が非常に重い、という点だ。おそらくCPUクロックが2GHzくらいないと快適に動作しないのではないか。このため、私はEvernoteから一度テキストエディタに文章をコピペしてから編集するようにしている。別な方法として、クライアント用のソフト上ではなく、Web上でもデータの編集が可能になっている。私のポンコツPCでは、動作としてはWebブラウザのほうが快適だったりする。
 さらに、これはあまり使われることがないかもしれないが、PCクライアント上ではINKつまりグラフィックを描くことが出来る。INK機能を使って手書きのローマ字を書くと、解析して電子テキストに翻訳する機能もある。メモとして図を添えたい場合は便利な機能であろう。ただしこの登録機能はiPhone 上では使えない。

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4.膨大なデータをとにかくEvernoteに放り込んで後で整理する

 Evernoteの本来の使い方は、膨大なデータをとりあえず放り込んで整理することだ。そのためにインプットデータの多彩さとデバイスの多様性への対応を備えている。
 まづインプットは以下のソースを選択できる。

  1. テキスト
  2. 写真(画像)
  3. 音声
  4. Webページ(PDFを含む)

 プラットフォームは以下を利用することが出来る。

  1. Windows
  2. Mac
  3. iPhone
  4. BlackBerry
  5. Palm Pre
  6. Windows Mobile
  7. (Webサービス)

 どの端末からデータを入力しても、それらはクラウド上にあるサーバに瞬時にアップロードされ、どのデータに変更を加えても定期的にあるいはアクティブに同期を取る。このため、外出先で思いついたことや、記録すべき写真、Webページ、音声をそのときにサーバに記憶させておいて、思いついたときに参照、編集できるのだ。どの端末からでも、Evernote上にあるデータは等価なデータとして扱えるのがすばらしい。
 当然データを整理分類するための機能も充実している。一度Evernoteに載せたデータは、まず「Notebooks」によって大きなくくりとして分類することが可能だ。私はブログ用のデータを通常のスクラップとは別な「Notebooks」に分類している。また、個々のデータは主にTagによって分類される。単一のデータに複数のTagを付加することが可能になっている。
 写真などの画像編集機能もそれなりものが付いており、サイズを変えたり、回転やトリミングも簡単に出来る。iPhoneの写真画像では解像度が高すぎる場合は、PCでリサイズして適当な解像度に修正可能だ。
 PC上では複数のノートをマージしてひとつのノートにすることが可能だ。このときに画像とテキスト、Webページ、おそらく音声も混在させることが出来る。だから、短いメモを大量に記録しても、後からマージすることで情報が拡散してしまうのを防ぐことが出来る。
 データ自体の分類はデフォルトでは作成月の日時順によって分類される。ここから検索もしくはTagにより必要なデータのみをフィルタリング可能になっており、Tagさえつけておけば目的のデータを探すことに苦労することはない。iPhoneの狭い画面でも、個々のノートはサムネイルで表示される。 iPhoneを横にすると1画面に12個のノートが表示されるので見た目で検索するには非常に楽になる。

Evernote

 実はこのブログのまさにこの文書も、PCで入力して、推敲はiPhoneで行っている。データ転送の手間なく、ちょっとベランダで一服しながらiPhoneで推敲する。そうしてPCで修正を行う。こんなことが可能なのもEvernoteならではだろう。
 むしろ、iPhoneなどの殆どコンピュータに近いMobile端末の登場がEvernoteのようなアプリの出現を促したのではないか。 Evernoteを使うことで、iPhoneというデバイスを意識することなくデータをハンドリングすることが出来るようになった。あとは、私たちユーザがこのアプリをどう使いこなすか。大げさかもしれないが、新しいコンピューティングの日常を試されているような気がする。

エバーノートのホームページ
http://www.evernote.com/

AppBankでEvernoteを詳しく紹介しています
http://www.appbank.net/2009/08/05/iphone-application/41595.php

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