「『地球温暖化論』に騙されるな!」:丸山茂徳著
〓 問題は人口爆発だ! 〓
会社で「エコリーダー」なる役割を仰せ付けられ、後学のためにとこの本を読んだ。まさに「目からうろこ」であった。この本の基本的な論点は、「地球温暖化≠二酸化炭素増大」ということだ。つまり、二酸化炭素の排出量を抑えたとしても、地球温暖化は止まらない。というより、この二者には殆ど関連性がない。つまり、以下のようになっている。
- 温室効果ガスといわれる二酸化炭素の増減は、平均気温に殆ど影響しない。
- 地球の平均気温に影響する要因はほかにあり、それらのほうがより影響度が大きい。
- そもそも地球の平均気温の変化は周期的におきる現象である。
- 1600年ごろに平均気温は寒冷化に向かい、民族大移動や飢饉がおきている。
- 人類にとって怖いのは、温暖化ではなく、寒冷化である。
- 温暖化よりは、今後100年以内に平均気温が寒冷化する可能性のほうが高い。
- もし寒冷化がおきれば、現在の人口60億人をまかなう食糧の確保は不可能となる。
- したがって、そうなる前に人口を減らすか、寒冷化を阻止する対策を世界規模で検討する必要がある。
この本では、温室効果ガスの削減をやめろといっているわけではない。石油資源の枯渇を前にして、エネルギーの転換は進める必要がある。ただし、その理由として地球温暖化を槍玉に挙げるのは論外だといっているのだ。
著者は、一番大きな問題は人口爆発であるとも述べる。そして、過去、人口を減少させる手立てとして、歴史的に戦争がおきているという。戦争の原因となるのは、イデオロギーよりもむしろ資源の争奪にある。たしかに、過去の大きな戦争については、領地の拡大、つまり資源獲得のための戦争であったことが、歴史に刻まれている。私は最近は本を読むにつけ、あらゆる事柄が戦争を暗示しているように思えてない。別な本では、アメリカでは若い貧困層を軍隊に引き入れているということが書いてあった。
そういえば、今年日本は冷夏だった。実は、真夏日が増えているのは都市部のヒートアイランド現象によるもので、地球全体ではむしろ寒冷化が始まっているようだ。この本の最後でも、以下のように述べている。
188ページ
この本を執筆中の2008年4月に、「すでに寒冷化は始まっている」という情報が飛び込んできました。イギリスのハドレー気候センターという研究所の観測データによると、2007年1月と2008年1月の平均気温を比較すると0.6℃も下がっているというのです。
このまま寒冷化が進むと、地球全体が食糧危機に見舞われるのだろうか。どうにも世界が戦争へと向かう道を、人類は着実に歩んでいるように思えてならない。
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