「宇宙を織りなすもの」:ブライアン・グリーン著
〓 時空についてこれ程までに分かりやすく面白く 〓
実は、私はこの本を読み終えていない。まだ、上巻の174ページ。それでもブログに書くのは、この本が今まで読んだ自然科学に関するどんな本よりも面白いと感じたからです。上下巻をれぞれ400ページという大著ですが、おそらく自然科学に興味のある方なら誰にでもこの本をお奨めします。ただし、私はまだ全部読んでいません。無責任?いや、この手の本が好きな方には、絶対面白いと思います。
例えば、こんな所から話は進みます。まず、相対速度。電車に乗って、隣の列車が発車すると、自分の電車が動いていると錯覚する。これは運動が相対的なものであるからです。物体の移動と距離は相対的なものだから、何かを指標にしないと図れないんですね。だから、自分の周りに何も無くなってしまうと、その時点で、移動とか速度とかそういった概念はなくなってしまうわけです。
ところで、加速度は外界と関係なく認識できます。例えば、回転すると手足が外側に引っ張られる。これは、遮断された球体に入れられて、加速度を感じないくらいにゆっくりと回りだしても同じです。つまり回転や加速度だけは、私の周りの一切合財が消えてしまっても、加速度として認識できるわけです。しかし、何に対して回っているのでしょうか。例えば、東京ドームを回転するようにしつらえて、その中心で私だけが回転しないような台に乗っていたとすると、視覚的には自分はまわっているように感じるかもしれません。しかし、遠心力はかからないので、私ではなく東京ドームが回っているのだということはわかるはずです。空間には、物体が回転運動の基準となるような絶対的な何か(エーテルのようなもの)が存在するのでしょうか?
この問題は、かのニュートンの時代から論じられ、そしてアインシュタインが相対性理論で解決したのです。そして、この相対性理論を説明するため、著者は「ザ・シンプソンズ」のキャラクターを登場させて解説するという、まったく新しい試みがなされています。私も昔、相対性理論の本を読み、光の速度に近づくと、時間はゆっくり進むということを知りましたが、なぜそうなるかは理解できませんでした。しかし、この本を読んで初めて理解できました(そう思っているだけかもしれませんが)。
いまは、量子力学がアインシュタインの考えを覆したあたりのページです。おそらくここからがさらに面白いところですが、これ以上この本を読み続けると、「簿記2級」の試験を落としてしまいそうです。現実から遠い話は先に延ばして、受験後に続きを読むことにしました。読み終えたら、このブログ記事を改稿します。
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