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〓 セカイカメラ×エバーノート=電脳コイル? 〓

 ジャーナル(時事)は扱わない主義でやってきましたが、この記事はちょっとはずしたくない。

 まあ、ITpro以外ではあまり真剣に取り上げられていないようなので、たいした話題にはならないと思うが、だからこそこのブログには載せたかったわけです。あまりメディアでは騒がれていませんが、これって結構すごいことだと思うんです。私だけ?。

 この記事の中心である『セカイカメラ』は、AR技術を使用したアプリです。簡単に説明すると、AR(Augmented Reality=拡張現実)は、目の前にある現実の映像の上に、電子的に作られた仮想的な何かを重ねて表示する技術ですね。そして、『セカイカメラ』というのはこのAR技術を利用したiPhone上のアプリケーションです。頓智ドットというベンチャー企業が開発しました。アプリケーションの具体的な内容については、以前記事にしたのでそちらを参照してくださいね。公開当初は色々問題があったようですが、今はバージョンアップを重ねてだいぶ改良されているようです。

 この『セカイカメラ』で実現される世界は、『電脳コイル』というアニメで表現されているものに近いといわれています。『電脳コイル』は現在NHK-BShiで再放送中です。『電脳コイル』は電脳実験都市が舞台として設定されていますが、街のつくりなどは現在の景観と殆ど変わりません。また、登場人物もどこにでも居るような小学生という設定です。明確な違い(コンセプト)は、小学生の間では「電脳めがね」というものが流行っていて、通常の生活では小学生はそれを利用しているということです。この「電脳めがね」を使うと、電脳物質を、あたかも現実に存在するものであるように見ることができる、という設定です。電脳物質には、電脳ペットや電脳グッズなどがあります。それと、街中では電脳タグが貼られている場所があり、このタグ(標識のようなもの)が、『セカイカメラ』のエアタグという機構に非常に近いものになっているんですね。

〓 仮想的なビジネスが成功するには現実との結びつきが必要~
  だからセカイカメラは成功するだろう~

 さて、実際に『セカイカメラ』でなにが可能となったかというと、現実世界と仮想世界の物理的な接点ができたということでしょう。インフラとして整った状態、つまりレールが敷かれた状態と考えてよいと思います。おそらく頓智ドットさんは成功するんじゃないかな。なぜなら、既に失敗したとされる『セカンドライフ』とは異なり、この『セカイカメラ』を中心とするインフラが、現実的に役に立つサービスを提供できるからです。

 例えばです、東京で大地震があったときに、『セカンドライフ』が役に立つでしょうか。おそらく現実世界との接点をもてないセカンドライフが有益な情報をうまく提供できることはないでしょう。しかし、『セカイカメラ』を使えば、自分が動けなくなる前にメッセージを残しておくことができます。あるいはそのときの現実を場の情報として保存できるわけです。WiFi機器が止まると位置情報の精度が落ちるかもしれませんが、まあそれはさておき…。

 一方、ビジネス面で考えるなら、現在のインフラ上で行われているサービスが、『セカイカメラ』のインフラ上に移行すると思われます。いまは何気なく使っているiPhoneの「食べログ」サービスと同様の情報提供が、『セカイカメラ』上で成されることが十分考えられますよね。そうなると、店の門構えをみて判断するのではなく、まずはiPhoneをかざして店の評価を参考にしてから店内に入る、という人が増えるでしょう。「うまかった~」なんてエアタグがたくさんある店はほぼ当たりです。実際に「食べログ」を使っている人はこんな感覚で店を選んでいるのでは?。

 ところで、リンクをはった記事を読んで分かるとおり、既に11社がこのインフラ上に何がしかのサービスを構築しようとしています。ここでポイントとなるのは、何度も繰り返すように、現実空間との接点を持っているということです。本が電子書籍に、手紙が電子メールに取って代わったように、看板や広告塔などが電子化されていくでしょう。つまり完全な仮想化された世界が立ち上がるのではなく、現実を仮想的に補いあるいは代替するというのが『セカンドライフ』とは異なる部分であり、そのことがこのインフラ事業を成功させる鍵となります。

 ただし、これらの『セカイカメラ』上で展開される全てのサービスが成功するわけでは、もちろんないでしょう。これま個人的な考えですが、おそらく、ITproの記事にあるような東急ハンズのサービスは失敗するのでは、と思われます。それは対象とする地域が特性を持っているのではなく、そこで起こる一過性のあるジョギングコースという現象に過ぎないことだからです。ジョギング関連の広告を置くというのは、現実的な場との結びつきではなく、ジョギングという事との結びつきに過ぎないですよね。そこには位置情報に依存する必然性が薄いといえます。もしジョギングコースに関連グッズの広告を表示するサービスが有効であるなら、ジョギングランナーが広告の役割を果たせば済むことです。走っている人に必要なのは自分の健康状態を知り、音楽を聞き、汗を吸収しやすいウェアを着ることであってそれらに関する情報を入手することではないと思うんです。少なくとも、彼らの大部分は既に入念にそれらの情報入手した上で走っているのでは?。単なる、走りを邪魔するようなものを彼らは要求しないでしょう。但し、彼らのニーズにあった情報と共に広告を掲載するなら別です。しかし、場合によっては広告自身がその本来の情報価値を下げてしまうかもしれません。

〓 エバーノートとセカイカメラが連携する意味

 今回の発表の中で驚いたのは、『エバーノート』と『セカイカメラ』が何らかの形で連携しようとしているということです。今後、この提携によりどのような展開を見せるかはまだ記事になっていません。(みん経新聞では一部記事になっているようですが)。おそらく、どちらかがどちらかに取り込まれる形で、インターフェースが融合することでしょう。頓智ドットは「場」のインフラを確保しており、エバーノートは個人の情報保存領域とインタフェースを確保しています。この2社は、おそらく現在の鉄道と百貨店という関係になるのでしょう。鍵を握るのは、どちらの企業も個人を相手とするコンシューマー向けサービスであることです。結果的に企業と個人を結びつける線上に、これらのアプリケーションが存在します。そして、エバーノートのノート作成には、そのノート作成時の位置情報が記録されることから、特に旅行、不動産、イベント、などの場と深くかかわるビジネスで、2社の提携による展開が見られるかもしれません。また、『セカイカメラ』のインフラ上では、従来のアミューズメントにはない、新たな何かが展開されると思います。現在の100%仮想的なオンラインゲームに代わり、現実の街で展開するシューティングやアドベンチャーゲームが新たに開発されると思います。これに近い内容は、実は既に「みんなの経済新聞」で実現していたりするわけです。

〓 Google Earthとの関係はどうなるのか?

 いまや、googleというかつてのベンチャー企業が中国という巨大国家に対して訴えを行う時代です。そしてそのgoogleは世界中の情報を集めることで、大きな権力を手中にしたといえます。この巨大なクラウドは、まるでかつてのアメリカ大陸のように、クラウドという仮想世界をインフラとする産業や富を生むと思います。その一端にこの『セカイカメラ』というインフラが存在することになるのだと思います。

 『セカイカメラ』にとっての脅威は、やはり『Google Earth』です。既にiPhone上の『Google Earth』は『セカイカメラ』以上の機能を備えています。但しこちらはあくまでも仮想空間の表示のみとなっていますが。もし、『Google Earth』に『セカイカメラ』が使用している位置情報取得技術が採用されれば、そして『Google Earth』上にエアタグが乗るようになれば、『セカイカメラ』はもはや不要になるかもしれません。

 皆さんにも、ぜひこの『セカイカメラ』で、新しいインフラを体験してもらいたいと思います。と、締めくくりたいところが、このタイミングで『セカイカメラ』が非公開となりました。この記事をUPしている現時点では、したがって『セカイカメラ』をAppstoreからダウンロードすることは出来ません。その位置情報取得技術に問題があるために、非公開となったようです。やはり革新的な技術の進展には、多くの障害があるのが世の常なのかもしれません。

セカイカメラ、App Storeで非公開に--アップルの審査基準が変更か
http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20409823,00.htm?tag=nl
アップル、今度はWi-Fi関連のアプリをApp Storeから削除?--「セカイカメラ」非公開もこの影響か
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20409847,00.htm

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