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『カルフレッド』の不思議

〓 なぜこの商品がこんなに安くなるのか? 〓
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 私がこうしてブログを書いている傍らには、熱いコーヒーを入れたステンレス製のマグボトルを置いています。これが問題の商品「カルフレッド」。この商品は近所の「いなげや」で3月27日に698円で購入したものです。すこぶる気に入っていて、外出時はもちろん、家の中でも珈琲もしくは水割りを入れて使っています。デザインもシンプルで申し分ない。
 それで、何が問題かというと、どう考えても698円と言う値段が安すぎる。もとい、安いことが問題ではなく、その理由が分からないというのが問題なのです。
 そもそも納得しないと商品を買わない私は、この手のマグボトルで納得できる商品を去年から探しつづけていました。そんなとき、偶然「いなげや」の特売の棚に、ひっそりとこのステンレス製のマグボトルが並んでいるのを見て、まさに自分が求めている商品を発見した喜びに満ち足りました。ステンレス製で軽く、鞄に入るくらいのスリムなマグボトル。まさにどんぴしゃの商品でした。ただ、通常であれば少なくとも1000円以上はする商品です。安すぎる値段の理由は、何か欠陥があるということではないかと思いましたが、デザイン的には申し分ないので、だめもとで、ためしに買ってみることにしました。
 欠陥として考えられるのは、保温性能が低い、蓋の構造に問題があり漏れる、材質が悪い、蓋や内部に臭いが付く、などです。しかし、いまのところ、これらの問題は発生していません。特に、予想された、製品そのもののステンレスやゴムから出る臭いは特にありません。思った以上に保温性能はよく、3時間程度であれば熱い状態で珈琲を飲むことができます。では一体なぜこの商品が安いのか。まったくもって理由は見当たりません。googleで検索しましたが、それらしきクレームも発見できませんでした。

〓 他社ブランドの製品と比較してみた

 カルフレッドのデザインと機能の完璧さに感心するたび、安すぎる値段に不安を覚えた私は、他の商品と比べればその謎が解けると思い、国内で販売されている同様の商品をAmazonなどで検索してみました。記載した値段はそれぞれ検索当時のものです。

象印:ステンレスマグ SM-EA30(PE)
通常販売価格    4,935円 (税込)
価格    2,280円 (税込) 送料別

サーモス:真空断熱ケータイマグ ダージリン 0.35L (JMK-351DL)
メーカー希望小売価格    オープン価格
ボトムズ販売価格    1,606円 (税込) 送料別

パール金属:マイカフェマグスリム
実容量     295ml
通常販売価格:1,155円(税込)
特別価格    735円 (税込) 送料別

和平フレイズ:カルフレッド
スリムマグ 0.3L
通常販売価格    1,890円 (税込)
特別価格    648円 (税込 680 円) 送料別

 そうすると、ご覧の通り、結局カルフレッドが極端に安いことが分かりました。象印とサーモスは、共に真空断熱を採用しています。また、呑口が樹脂になっていたりといくつかの構造的な違いがあるようです。しかし、真空断熱というだけで1000円の差がつくものだろうか。
 一方で、値段的にほぼ同じものがありました。パール金属の「マイカフェマグスリム」。デザインも構造も殆ど一緒です。ただ違うのは、マイカフェマグにはAmazonサイトでのカスタマーレビューが付いているのに対して、カルフレッドにはありません。これは一体なぜなのか。さらに調べていくと興味深いことに、これらの製品はどちらも新潟市にある会社が販売しているということが分かったのです。

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マイカフェマグの本体と蓋 カルフレッドの本体と蓋

 一体どんな会社がこれらの製品を販売してるのか、会社ホームページを覗いてみました。

〓 どんな会社がカルフレッドを作っていたのか

カルフレッド:和平フレイズ株式会社(新潟県燕市)
1951年和平商店創業、61年和平金属に変更、現在300名。そこそこ洗練されたホームページを持っており、商品を検索しやすいです。楽天、Yahoo、biddersにリンクがはられており、そこからネット通販サイトで購入できるようになっています。ところが、肝心のカルフレッドに関する商品情報はありませんでした。おそらく販売中止となったのだと思われます。

マイカフェマグ:パール金属株式会社(新潟県三条市)
1967年創業、現在600名。ホームページはやや古いデザインです。商品が前面に出ることなく、トップページは主にイベントや消費者へのお知らせが中心です。商品よりもライフスタイルの提案や地域へのかかわりに関する情報が前面に出ています。専用の通販サイト「ファミリーキッチン」へのリンクがあり、商品情報はこのサイトに集約されています。通販サイトでマイカフェマグは注目商品として一番目立つ場所で紹介されていました。

〓 マイカフェマグがカルフレッドを引き継いだのか

 これで謎が解けたわけではありませんが、何となく道筋をたどることができそうです。そこで、以下の仮説を立ててみました。
・和平フレイズとパール金属は国内の調理器具販売会社としてライバル関係にある。
・カルフレッドとマイカフェマグは中国の同じOEM先(受託生産会社)で生産されている。

 おそらく最初にマグボトルの企画販売を開始したのは和平フレイズの方ではないでしょうか。双方の製品には殆ど違いがなく、
・マイカフェマグには蓋と本体のあいだの外面に帯状の樹脂らしきものが巻きつけられている。
・マイカフェマグの蓋に使用されているシリコンパッキンが青色のものにに変更されている。
といった2点だけです。カルフレッドのパッキンは半透明色で、使用していると茶色く変色してきます。この点をマイカフェマグは改良したのでしょう。また、マイカフェマグ本体に巻きつけた樹脂状の帯は、どう考えてもデザイン上の変更としか考えられません。カルフレッドは本体は全て金属になっており、コスト面から考えても、またデザイン面からも変更する余地は無いのです。それに、カルフレッドは蓋のほうにゴムの帯を巻きつけて滑り止めとしており、こちらのほうが機能的に考慮されたものとなっています。最初に企画した段階でデザイン上の制約がないかぎりは本体側に帯状のもの巻きつけるという発想は生まれないでしょう。ということは、これらは後発であるマイカフェマグが最小コストでデザインを変更するために行った苦肉の策だと思われます。また、マイカフェマグはロゴを縦に配置しており、さらにカラーバリエーションも若干特殊なものが多く含まれています。これらも後発であるがゆえのデザインといえるのではないでしょうか。私はそんなふうに推測していました。

〓 安さに納得するためのストーリー

 この商品の価格が698円となるまでの、私の考えたストーリーはこんな感じです。
 まず、和平フレイズが企画を立てて新しい商品としてカルフレッドを開発商品した。製品は中国のOEM先で生産され、通常のキッチン製品と同じくくりで、和平フレイズが日本全国に展開するリアル店舗の棚に置かれた。ところが、定価が1,890円という高額な設定だったこともあり、また店舗に訪れる客層が違うためにカルフレッドはなかなか売れなかった。そこで、和平フレイズは商品の生産中止を決定した。
 OEM先は生産の継続を狙って、ライバルのパール金属に企画を持ち込み、より低価格で製品を供給する交渉を進めた。その結果同一商品とならない最小の配慮をしてマイカフェマグが誕生。パール金属は1,155円という値段設定で、しかもネット上で販売を開始しために、販売が順調に伸びた。
 これをみて在庫の滞留を恐れた和平フレイズが在庫処分を開始し、原価ぎりぎりで卸を開始した。こんどはそれを見たパール金属が卸価格を下げて価格差を最小に抑えようとした。一部の販売価格が下がり、それをみた「いなげや」は在庫の一掃をするために、可能な最低価格設定で販売を開始した。
 そしてやがて、いなげやを通りかかった私がカルフレッドを手にした。

 以上はあくまでも私の推測です。実際にどの様な経緯でカルフレッドの値が下がったのかは不明です。しかし、もしカルフレッドがマイカフェマグと同じ工場で生産されているなら、この商品は価格を相当上回る価値があると思います。なぜなら、Amazonではマイカフェマグに対するカスタマーレビューの平均点が高く、しかもサーモスの製品を使ったカスタマーもマイカフェマグのことを高く評価しているのですから。私は既にカルフレッドを2本購入していますが、もしいなげやにまだ在庫があったら、会社用にもう一本購入しようかと思っています。

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コメント

 その後カルフレッドは近所の「いなげや」の棚から消えました。もう一本買っておくべきだったかと少し後悔してます。
 これまで使用してきた感じでは、カルフレッドは「完璧」なマグボトルです。おそらく、サイズ、デザイン、ディテールについて、これ以上足したり引いたりする必要は無いでしょう。但し、パッキンは消耗品なので、交換が必要になったときに在庫があるかどうか、それだけが心配です。

投稿: パピガニ(本人) | 2010年6月 5日 (土) 16時17分

追加情報。本日別なお店で、「マイカフェマグ」が798円で売られていました。外箱から出して展示してあったので、手にとって確認したところ、外蓋のつくりが「カルフレッド」よりも明らかに安く作られていました。ビン本体の構造は殆ど変わらないのですが、外装がマット仕上げでプラスチックの質感に近くなっています。おそらく機能的には殆ど変わらないのでしょうが、高級感では「カルフレッド」の方が断然上です。(値段は安いのですが(^^)v

投稿: パピガニ(本人) | 2010年6月19日 (土) 21時17分

呑口まわりの塗装がはげてきました(;;)
安さの理由はこれかな?
でも利用上実害はなさそうなので、良しとしましょう。
マイカフェマグの改良はこの部分だったようです。

投稿: パピガニ(本人) | 2010年9月17日 (金) 12時55分

はじめまして。
いまさらのレスですが。

耐熱性は大丈夫でしょうか?
冷水専用で、熱には弱いタイプではないでしょうか?

もしそうであれば、安くなるのもわかる気がします。

投稿: とくめー | 2011年9月12日 (月) 15時12分

とくめーさん、コメントありがとうございます。
耐熱性については問題ないと思います。
実際、私が使ったのは熱いコーヒーが冷めないように、
会社に持っていくためでした。
3時間近くは熱い状態を保てると思います。
価格が安いのは飲み口まわりの構造が単純なためだと思います。

カルフレッドはなぜか実売値が上がっていますね。
逆にマイカフェマグのほうが安くなっています。

性能的には、両方とも遜色ないと思いますよ。
ただ、カルフレッドの方は塗装がはげやすいです。
デザイン的にはカルフレッドのほうが良いのですが、残念です。
もしかしたら塗料が改良されているかもしれませんが…
いまなら、マイカフェマグか、西友で売っているマグボトルをお勧めします。

スリムなのに保温性能を保てるのは、中空部がほぼ真空になっているからです。
実は一本目のカルフレッドは、強い衝撃を与えたために、
中空部に空気が入ったらしく、全く保温ができなくなってしまいました。
その後私は、西友の350mlのマグボトルを750円ほどで購入しました。
これも、飲み口周りをごしごし洗っているうちに塗装が剥げてきたわけですが、
性能的には全く問題ありませんでした。

投稿: パピガニ(本人) | 2011年9月12日 (月) 23時38分

こんないまさらのコメントにレスしていただきありがとうございます。


私も先月カルフレッドを700円で購入し、
その機能性と利便性と値段の安さに感動したところなのです。
そこで「カルフレッド」とは何者?と思い検索してみたらここにたどり着いたわけです。

ただし、私のカルフレッドには但し書きで「保冷専用」と書いてあったため、これが安さの一因なのかと思っております。
あと、たしかに塗装ははげやすいですね。

投稿: とくめー | 2011年9月13日 (火) 12時21分

我が家は、カルフレッド スリムマグ03Lを4本あります
私と妻は職場へ、子供*2は、学校へ持って行きます
色は赤、青、茶、黒 各1本
2年ほど使用してますが、全く気にせず熱水、冷水を入れてます
確かに塗装がはげやすいですね、ある時期、見た目が悪いので硬いタワシで擦り落としまして4本ともステンレス色です
違いは、キャップと本体底面に塗装が残ってます
パッキンは、最初は半透明のクリーム色でしたが今では変色してます、機能性は落ちてませんが最近メーカーのサービス窓口にメールしてパッキンのみを注文して送ってもらいました
105円/個を4ケ 送料90円でした
デザインも機能性もシンプル・ベスト、耐久性もあり、気に入ってます
まだまだ、数年は使うでしょう
(#^.^#) ワッハッハ!!

投稿: 水筒くん | 2012年8月29日 (水) 13時29分

水筒くんさんコメントありがとうございます。
なかなか豪快な使い方をされているようで…「(^^)
私の場合はしばらくの間まだら模様でしたが、最終的にはやはりステンレスの生地がむき出しになりました。けっこう時間がかかりましたが…。

実はASSOというマグボトルを手に入れたので、ビールや水割りを飲むためだけに使っていました。じか飲みではなく、吸い口にプラスチックのアタッチメントが付いたタイプです。
ある時、ビールをASSOに移してから飲んだ途端、腹が下りまして…。そして、アタッチメントの部分に黒かびがびっしりと付いているのを発見してびっくり。使用後は流水で洗う程度にして繰り返し使っていたんですが、アタッチメントはこまめに洗浄しないとだめみたいです。
やっぱシンプル・ベストですなぁ。今度いなげやでカルフレッドをみつけたらまた購入する予定です。「(^.^)

投稿: パピガニ(本人) | 2012年8月30日 (木) 00時47分

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