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Google先生に聞いてみよう「クラウド化する世界」ニコラス・G・カー著

 最近「Google先生に聞いてみよう」というフレーズを良く見るようになった。しかし、この意味は文字通り「聞く」のではなく、Googleで検索するということ。暗に、Googleで検索すると、大概のことは分かることを示している。
 ところが、将来的には、実際に文字通り、Google先生に聞くことができるようになるかもしれない。つまり、検索するのではなく、分からないことをGoogle質問するわけだ。もしそうなれば、今みたいに検索した結果からさらに正しい答えを検索する必要はなくなる。
 これは、私の希望とか願いとかではなく、実際にGoogleは、そうなろうとしているのだ。

 この本には、今まで知らなかった身近な未来が書いてある。そのどれを読んでも「ありえない」とはいえないはず。なぜなら、著者は過去にあった事実から、これから起こりそうな現実を検証しつつ話を進めるからだ。
 おそらく、読み手によってその驚きは違うだろう。ここでは私が読んで驚いた部分をピックアップして述べてみたいと思う。

〓 GEやウェスチングハウスは、業態の大きな転換を迫られた(100ページ)

 ご存知の方は多いと思う。この本で著者ニコラス・カー氏が述べた、コンピューティングが1900年代の電力事業と同じ道をたどるだろうという話は、数々の書籍やセミナーなどで引用されている。つまり、1900年頃は電力供給が工場内や街単位というきわめてローカルな範囲で成されていたのが、ある時期から電線網によりにきわめて広い範囲をカバーするようになった。つまり今のような電気のある生活をもたらしたのは、電線網の発達だった。
 かつてGEやウェスチングハウスは工場向けのダイナモや発電施設を販売していたが、それらのビジネスはなくなってしまったのだ。そこで彼らは、従来の事業を捨てざるを得なかった。代わりに、家電という新しい事業に移行して生き延びたのだ。

〓 従来のハードウェアビジネスは、ほとんど姿を消すだろう(95ページ)

 そして、コンピューティングも、ネットワーク網により大規模なデータセンターが供給するようになるだろうという話。結局、いま会社単位で持っているサーバなどは殆どなくなり、コンピューティングはグーグルなどのサービスに取って代わるわけだ。
 クラウドは単に大規模なデータセンターではない。仮想化技術によって、ネットワークを介したコンピュータ資源の供給を可能にしている。この仮想化技術が、アプライアンスと呼ばれる特殊なハードウェアのソフトウェア化も可能にするのだ。本書では代表的な例として、スリーテラのグリッドOS「AppLogic」を紹介している。
 そうすると、現在のIBMやHPは、サーバやネットワーク機器の販売事業は立ち行かなくなるだろう。昔のGEと同様に、業態の転換を迫られるようになる。

〓 従業員さえも仮想化されるかもしれない(243ページ)

 グーグルでは、人事管理に数学的モデリングを応用する実験を開始しているという。そんなことが可能なのかと耳を疑いたくなる事実だ。サロゲートやアバーターのように、私たちが仮想化の世界に入り込むのは理解できないことではない。しかし、グーグルで起こっていることは、人間そのものが数値化され仮想的にコンピュータ内にモデリングされている。はたして倫理的な問題は無いのだろうか。

〓 ワールドワイドコンピューティングにより監視社会が訪れる(250ページ)

 著者が言うワールドワイドコンピューティングとは、世界中のコンピュータがネットワークで接続されている現状を指している。そこでは世界中のあらゆるコンピュータと接続可能になっている。場合によっては同期して動かすことも可能になってるわけだ。さらに、個人情報はいとも簡単にたどることができる。アメリカの技術者ではないメディア関係者が特定のIDから本人の情報を引き出した(住所、氏名など)例を挙げている。
 一つは、政府は既に個人の監視を始めているだろうということ。もう一つは、意外と私たちはコンピュータ上に自分の情報をさらけ出しているということ。さらに、私たちは、例えば政府から監視されていることを知ったとしても、それを受け入れるだろうと、著者はいっている。

〓 Googleは「完全AI」になることを目指している(254ページ)

 対話型の人工知能はまだ実現していない。チューリングマシンという実験が過去に行われ、相手がコンピュータか人間かを区別できなくなれば、それを人工知能と呼べるだろうといわれた時期がある。しかし、もしGoogleで自然語検索が可能となったら、もはや人工知能と呼べそうではないか。もし問いに対して、Googleの検索エンジンが検索した結果を自然語におきなおして表示したとしたらどうだろう。そうこうしているうちに、Googleは自分で問を発するかもしれない。

〓 書籍のスキャニングはAIに読ませるためにやっている(268ページ)

 まじかよ!。と思ってしまう。しかし本書によると実際にそうらしい。Googleがビジネスとして書籍の電子化をやろうとしてるとは思えないが、もしAIのためにやろうとしてるとすると、何となく判るような気がする。

 最近では、アップルのiPad、iPhone4などばかりが話題で、Googleの話題はあまりなくなったが、彼らはアップルの10倍以上(つまりアップルがiPod,iPad,iPhoneなどのガジェットを10種類世に送り出す以上)に、ものすごいことをやろうとしているようだ。
 おそらく、日本では1960年代に家電製品が世を席巻して、ライフスタイルががらりと変わったように、今後、私たちの生活を大きく変える出来事が次々と起こるのではないだろうか。

 実は、この本では、その将来をやや悲観的に見ている。私は、できるだけ楽観的に考えたいのだが。2020年になれば、将来がどうなるかをGoogle先生に聞くことができるのだろうか。

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