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クラウド関連プロダクトを俯瞰する 『クラウドコンピューティング』森洋一著


〓 副題:技術動向と企業戦略

 オーム出版からの出版。それだけに、多くの技術やプロダクトをカタログ的に並べたものになっており、広くクラウドの情報を仕入れるには良い本かもしれません。実際に、この本で紹介されているクラウド関連の要素技術やアプリケーションの数々は、他の書籍を圧倒していると思います。

 本書の中盤では、一件について約2ページほどを割いて、クラウド関連要素技術の解説をしています。中にはクラウドとの関連が疑わしいものもありますが、それでも注目に値する技術であることからいえば、本書で目に触れることの意義は大きいと言えます。各解説の冒頭では、技術の要約とプロダクト名または会社名をタイトルにしています。そのタイトルを抜き出して見ました。但し、2009年の出版なので、移り変わりの速いこの業界の製品名はすでに提供中止になっていたり、取り扱い会社名が変わっているかもしれません。
※各タイトル行の先頭は、掲載されているページを示しています。

◆以降はPaasの紹介

106>ウィンドウズを全面にサポートするゴーグリッド(GoGrid)
108>ホスティングの新しいメニューを提供するフレキシースケール(FlexiScale)
110>コラボもできるスカイタップのバーチャルラボ(Virtual Labs)
112>オープンソースで大規模ホスティングを実現するジョエント(Joyent)
 ジョエントアクセラレータのエンジンとなるサーバーOSは「オープンソラリス(OpenSolaris)」。これをベースにあらゆるオーブンソースを動員して、要望に敵うカスタムメードのスーパーバイザーに仕立てあげる。それがこの会社のスピリットである。
114>PHPプラットホームのサイトスープラ(SiteSupra)
115>3テラのグリッドOSアップロジック(AppLogic)
 日本市場では2008年夏、ネットワンシステムズが3テラと独占販売契約をユーティリティ結び、市場開拓に乗り出している。
117>クラウド・アプリケーションプラットフォームのアピストリー(Appistry)

◆以降はミドルウェアプロバイダーの紹介

122>ITの硬直化を解き放すギガスペースのXAP(eXtreme Application Platform)
125>VPNてセキュアな環境を提供するコヘシブFT(CohesiveFT)
128>アマゾンAWSを使いやすくするライトスケール(RightScale)
130>AWSとアップエンジンを監視するハイペリック(Hypericum)
131>CAからはクラウド対応も可能な総合運用管理システム
144>Saasプラットフォームを提供するオップソース(OpSource)
146>ウェブ上でインテグレーションを始めたブーミ(Boomi)
149>実用的なオーブンEBSのミュール(Mule EBS)
151>ユーザーが感じるウェブ品質調査のキーノート(KITE 2.0)
153>SaaSのパフォーマンス・マネージメント(Absolute Performance)
155>SaaSでがんばるCDNのアカマイ(Akamai)

◆オフィスプロダクト

176>RIAに賭けるバズワード(Adobe Buzzword)
179>完璧な表計算ソフトウェア エクスプレッソ(eXpresso)
181>マルチメディアでプレゼンするならスライドロケット(SlideRocket)

 本書には、HP、IBM、今はOracleとなったSUNなど大手メーカの動向も含まれています。他の書籍のように、Google、Amazon、Salesfoceといった特定のクラウド関連企業に傾倒することなく、クラウドに関連する情報を広く集めているところが、本書の特徴です。
 クラウドに関する一般的な概念を理解した上で、製品に関する情報を広く知りたい方にお奨めの本です。

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