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日本の浴室用水栓はなぜユニバーサルデザインではないのか 『TOTO TMHG40CQR』

 今まで数少ないながらも、これはよさそうと思える製品を、良いところ悪いところをひっくるめて紹介してきました。今回は浴室用水栓というかなり特殊な製品の紹介です。

〓 浴室用水栓を選ぶときの注意点とは

 そもそも、浴室用水栓は最初から家についてるものですから、選択の余地などないものです。だから、なのでしょうか、どのような浴室用水栓を選択するべきか、といった、生活に密着しながらもあまりにも機会が少ないこのタイプの事例は、ネット上にあまり情報がありません。ですから、もし近い将来に浴室用水栓の交換を考えている方には、是非このブログを読んでいただきたいと思っています。かくいう私も、何も知らずに浴室用水栓を交換して失敗をしたのです。
 問題は、浴室用混合栓の止水ハンドルが何処についているかという単純な話です。私は最初、止水ハンドルと温度調整ハンドルが左右についているものは、左右を交換可能と思っていました。素人目には、どちらも殆ど同じ形、似たような構造に見えるので、取り付けのときに、左側を止水ハンドルに着け変えることができる、と考えてしまいます。しかし、実際には殆ど全ての製品が温度調整ハンドルは左側に固定されていて、左右の交換はできないのです。
 結論を先に述べます。もしあなたが浴室用水栓の交換を考えていて、もし現在の浴室用水栓が洗い場の右手についている場合は、TOTOであれば今のところ、この製品TMHG40CQRだけがベストの選択となります(2011年6月)。私がこのような結論に至った顛末を、これから述べたいと思います。

〓 給湯器の交換ついでに浴室用水栓も交換

 15年間という永きにわたり使ってきたこのマンションの給湯器も、とうに寿命を過ぎているせいか最近調子が悪くなったので、メーカーさんに調べてもらいました。「給湯器の設計寿命は10年。交換用部品も10年で在庫期限を終わるのです」と、故障を調べに来たノーリツの方が言っていました。結局、修理不能とのことで、ノーリツさんから設備工事会社のヒグメンさんを紹介していただきました。
 ヒグメンの営業担当者の方は色々と相談にのっていただきました。そして「高い買い物なので、じっくり検討してください」といって、けっして押し付け販売のようなことはしません。とても印象が良かったので、ということでもないのですが、ついでに浴室用水栓も交換をお願いしました。工事費は本体工事に含めていただけるとのことでした。

 その2ヵ月後、私もやっと決心がつきました。省エネタイプのエコジョーズ、約36万円、36回ローンでの発注です。その時期は閑散期ということで、翌週の日曜日に交換工事が入りました。
 その日は大雨でした。マンションのベランダでカッパを着ての吹き付ける雨に耐えながらの工事です。終わった頃に「いやぁ、たいへんでしたねぇ」と労いの言葉を添えてから、私はごく普通に聞いたつもりでした。
「そういえば、あの、このハンドルの右と左を入れ替えてもらいたいのですが・・・」
すると、わたし言葉を聴いた若い担当者は、眉間にしわが寄りました。
「それはできないんです。構造的に無理なんですよ」
なかば予想していたかの驚きを隠せず、私はすこし詰め寄って言いいました。
「でも、どう考えてもこれは使いづらいですよね。最初からわかっていることですよね。それなのにこの製品を薦めたんですか?」

〓 右側に止水栓があると困る理由

Iphone_001  我が家の浴室は、浴槽が洗い場の右手にあるのです。浴室用水栓は洗い場と浴槽の境目となる位置に取り付けてあり、止水ハンドルが右側つまり洗い場から遠いほうについている。取り付けたばかりの水栓ハンドルに触れながら、この感覚はどう考えても合理的ではないように思えてきました。
「以前ついていた水栓は止水ハンドルが前についていましたよ。ここに張ってあるシールを見てください。左に回すとシャワー、右にまわすと蛇口といった操作が、前についているハンドルでできたんです。だから問題なかったんです。せめて前にハンドルがあるものを選んでくれるべきですよね?」
Iphone_004_2若い担当者は、わざわざ玄関先に持ち出していた、取り外したばかりの古い水栓を確かめてから、
「たしかにまあそうなんですが、少し検討させてください。後で電話で連絡するように営業に言いますから」
 そうするより他にない方法でその場をかわして、若い担当者は帰っていきました。

Iphone_002  こうなると、私も意地になり、ネットで左ハンドルの製品を探しまくりました。ところが確かに左に止水ハンドル、右に温度調整ハンドルがついている製品はないのです。「だから左右を交換できるものと思い違いをしても仕方がないのだ」と自分を納得させたりもしました。「左右交換できません」といった注意書きも、「浴槽が右側の場合は注意が必要です」といった警告も、ネットの浅瀬には載っていないのです。以前使っていたような、前面に止水ハンドルを取り付けた製品はTOTOの製品には見当たりませんでした。。INAXではわずかに一つだけありましたが。

〓 TOTOさんにも聞いてみた、なぜ止水ハンドルは右なのか

 少し深みにはまって、私はTOTOに電話で確認してみました。
私「浴室用水栓についてなんですが」
TOTO「はい、どのような・・・」
私「左右の両端に止水ハンドルと温度調整ハンドルがついている製品があるのですが、これは左に止水ハンドルがついている製品はないのですか?」
TOTO「はい、いぜんから安全面を考慮して、温度調整ハンドルは左に取り付けるものに統一されています」
私「でもうちは右手に浴槽があるので、右側に止水ハンドルがついていると使いづらいんです。温度調整のレバーは殆どいじりませんし。そういったことを考慮した製品はないんですか」
Iphone_006_2 TOTO「一つだけ、中央に横長のアーチ状のレバーをつけた製品があります。上に上げるとシャワーで下に下げると蛇口から水が出ます。」
私「そうですか。以前は、真ん中に左右に回す止水ハンドルがついた製品を使っていたのですが、それとは違う構造ですか。」
TOTO「そういったタイプのものは以前は製造していましたが、残念ですが今は製造していません。」

 最近では、スイッチで出水止水ができる製品もあるらしく、電話でそれとなく薦められました。しかし、値段がいかんせん高いようだし、しかもそんな必要性を全く感じません。問題はレバーかスイッチかといった操作方法ではなく、そのレバーなりスイッチが何処に配置されているかということなのです。
 たしかに温度調整ハンドルの取り付け位置を左側に統一するという安全面の配慮はわかります。しかし、水栓を洗い場の右側に取り付けた場合の操作性を考慮していないのでは?といった疑問が残ります。

〓 アーチハンドルという解決策、最初からそうしてほしかった

 その後、ヒグメンの営業担当の方から電話があり、結局アーチタイプのものに無償で交換していただけることになりました。今後何年も使い続けていくものですから、一見たいした違いがないように見える止水ハンドルの取り付け位置というものも、実は非常に重要な問題に思えてなりません。今現在は、右に止水ハンドル、左に温度調整ハンドルがついたものが一般的な浴室用水栓も、将来は左右どちらからでも操作がしやすいアーチレバータイプの製品に統一されるのではないでしょうか。設計上も従来の製品のハンドル部分のみを改良した形になっているので、それほど変更点があるわけではなさそうです。

 些細なことですが、浴室用水栓を交換するというのはめったにあることではありません。だからこそネット上にはこの手の記事はあまり掲載されていないようです。浴室用水栓の交換を考えている方が、この記事を見つけて、少しでもお役に立てればよいのですが。

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