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スキルアップのためのスキル 『メタスキル学習法』 その1:メタスキルの概念

〓 はじめに、言葉ありき

 最近「メタスキル」という言葉が一般的になってきました。ただし、これはまだ新しい言葉のため色々な解釈があるようです。2006年のころは、まだ「metaskill」は心理学のごく一部の領域で使われていて、かなり限定された定義でした。しかし、最近は一般化されて文字通りの意味に近づいたと言えるのかもしれません。それでも、まだ統一された意味付けはされていないようです。

 これから皆さんに紹介するのは、筆者が2006年にとある部署内の育成施策として打ち立てた概念です。当時はまだ「メタスキル」という言葉が日本語では定義されていませんでした。そこで勝手にこの言葉を使わせていただいていました。そして、いずれブラッシュアップしてブログかホームページで紹介しようと考えていたのです。
 最近、やっとその考えがまとまりましたので、まずは導入部としての概念を紹介します。以降は連載的に記事として続きを掲載していきたいと考えています。

〓 スキルが必要になった

 さて、私たちが日常の仕事をこなしていく上で求められるものはアウトプットです。みなさんもご存知の通り、今は成果主義の時代ですからね。「成果」と呼ばれるアウトプットが強く求められ、そのアウトプットに応じて人事的な評価がなされます。
 かつて年功序列と呼ばれた制度で、大方の社員が全体の成果を全員で分かち合った時代と、今は異なります。いまは成果をあげた者がそれに見合った利益を享受できるという、新たな制度に切り替わったのです。良いか悪いかは別として。しかも不完全なわけですが。このへんも皆さんご存知のことでしょう。特に私は身にしみています。
 いままでは年齢で給料がある程度決まっていたいのに、今はスキルを上げないと収入アップもありません。収入アップのために、ヨイショの達人になるというのも一つの方法ではありますが、これは相手によります。やはり収入アップのための普遍的な方法はスキルを上げて高い成果をあげることではないでしょうか。つまり、収入アップのためには高い成果をあげなければならない。では、どうすれば高い成果を上げられるのか。そのためにはスキルをすばやく身につけることです。だとすると、どうやってすばやく必要なスキルを身につけるかが問題になります。これは現代のサラリーマンに共通の課題です。
 ところで、そもそもスキルとは何でしょうか。

〓 スキルとはなにか

 スキルは一言で述べるなら後天的に獲得できる価値創造のための技術です。ニュアンス的には「技」とか「技量」に近いかもしれません。例えば「あの人はスキルが低い」というのは、一般的には本人の人格について述べているのではなく、ある特定の求められる技量がその人に具わっていない、ということを意味しています。

 ロバート・カッツはスキルを次の三つに分類しています。2

  1. テクニカルスキル
  2. コミュニケーションスキル
  3. コンセプチュアルスキル

  この分類は人材育成の分野では一般的な概念となっています。しかし、あろうことか私はこの定義に対して疑義を挟みます。実は、私自身は「コンセプチュアルスキル」と「コミュニケーションスキル」を、スキルと呼ぶことについては反対です。なぜなら、これらは後天的に獲得する部分よりも、先天的ないわゆる才能に左右される要素が大きいと考えるからです。社長や重役のスキルについて論じるというのはいかにも違和感があります。
 そもそも「コミュニケーションスキル」がマネジメント層対象、「コンセプチュアルスキル」が経営者層といった会社組織の階層を縦軸に持ってきていることから分かるとおり、あくまでも企業のヒエラルキーを基準にした分類です。しかし、管理職に要求される能力はスキルよりも、話し方や考え方といった基本的なエトスである、というほうが正しいと思います。そもそも管理職以上は一定レベル以上のスキルを持っていることが前提となるわけですから。
 最初に私がこのロバート・カッツのスキル分類を見たときはものすごく合点がいきました。しかし、よく考えるとこの考えを広めて得をしたのは、実は研修を販売する業者だったのではないかと思います。実は、一般的なビジネススキル研修やヒューマンスキル研修は3年周期ではやり廃りがあり、この学説が普及したそれ以降にはコミュニケーションスキルの研修が大流行しました。

 以上から、ここではスキルをロバート・カッツが述べる「テクニカルスキル」に限定します。つまり、いわゆるヒューマンスキルについては除外します。

〓 テクニカルスキルを向上するために

 ここで、テクニカルスキルをスキルの総称と解釈します。テクニカルスキルは細分化可能で、業務スキル、プログラミングスキル、プレゼンテーションスキル、などといった風に、必要な業務にあわせたスキルの特定が可能になります。
 それでは、これらのスキルを向上するためには、何をすればよいのでしょうか。従来であれば、個々のスキルアップに向けた研修を受講したり、或いは資格の取得を目指して独習したりといった手法が考えられます。しかし、それぞれに必要な知識は全く異なります。つまり、これらの三つのスキルを獲得するには、それぞれのスキル獲得に向けた努力が必要ということになります。
 しかし、もし仮にそれぞれに共通する技法を用いて、どのスキル獲得にも共通にスキル獲得を短時間で可能としたり、より多くのスキルを身に付けることができるようになればどうでしょうか。もしかすると3年かかっていたものが1年でスキルを獲得できるようになるかもしれません。つまり、個別のスキルを向上させようとする前に、スキルを簡単に向上させることができる技法を身に付けたほうが得策だといえます。

〓 メタスキルとは何か

◇メタスキルの三つの要素
 スキルアップのための共通する技法が「メタスキル」です。ここで提唱するメタスキルの概念は、より単純化したものを用います。メタスキルの概念は複雑であってはいけません。メタルスキルは頭で覚えるものではなく、訓練によって獲得するものだからです。
 しかし、どの様に訓練すべきか、どんな方法で訓練すべきかといったことについては、概念的な知識をある程度習得する必要があります。ここでは、メタスキルを概念化するために、まず学習活動を単純化して扱うようにします。すなわち、「Input」「Process」「Output」の三つです。

◇とどのつまりは「読み書きそろばん」である
 私がここで述べるメタスキルとは、つまり「読み書きそろばん」のことです。読むことは「Input」、書くことは「Output」、そしてそろばんが「Process」を意味します。
 こう書くと「なーんだそれだけのことではないか」と思われるかもしれませんね。しかし、今現在は、この言葉が創られた当初とは状況が異なることに注意する必要があります。「読み書きそろばん」を現代の技法で言うならば「速読」「ロジカルシンキング」「文章作成」などとなります。その技術が目指すところはほぼ同じでも、その手法はより近代的な体系が確立され、高度に発達しているのです。いずれも本来であれば学校教育の中で学ぶべきことなのかもしれません。しかし、教育体系はそう簡単には変更されません。だからこそ、私達は社会人になってから、これらの基礎用件をもう一度学びなおす必要があるのです。

 メタスキルとは、学び方の技法です。そしてその手法は既に確立されており、多くは書籍化されています。私が紹介するのは、学び方の技法であるメタスキルを体得するために、どのような書籍を活用すべきかといった読書論に近いものです。これらのメタスキルを学ぶために、高い授業料を払う必要はありません。必要な書籍を購入し、まずは知識の習得、つまり「Input」から始めればよいのです。メタスキル獲得の手法そのものも、「Input」「Process」「Output」の実践です。

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〓 「Input」「Process」「Output」

 メタスキルの概念を用いた学習法を「メタスキル学習法」と呼ぶことにします。そしてメタスキルは一般的な学習法と同じように、「Input(知識の獲得)」「Process(論理思考)」「Output(他者への伝達)」の3つに分類されます。
 これらの3つに分類された学習の概念を、さらにその効果によって分類します。すなわち「Speed」「Volume」「Value」の3つです。これらの3×3のマトリックスを考えます。それぞれに適用される学習法を記載しました。

  Input Process Output
Speed 速読術 計算力 パターニング能力
Value 読書術 論理思考 プレゼンテーション能力
Volume 記憶術 ツールリテラシー 文章作成力

全部で9つの学ぶべき技法がそろいました。しかし、重要なのは次の3つであることがわかります。すなわち、

  1. 「速読術」により、すばやく情報を獲得する
  2. 「論理思考」により、高い価値を創造する
  3. 「文章作成力」により、広くアウトプットを伝える

 これらの補助的な技法として記憶術、計算力などを獲得し、メタスキルをより強固なものにします。

〓 次回からの展開

 以上で「メタスキル」の概念についての説明は終わりです。次回からは「Input」「Process」「Output」の順にその学習法を説明します。いずれも書籍の紹介と実践方法を中心に展開する予定です。この長い記事を最後まで読んでいただいた方に感謝いたします。次回もぜひご参考ください。

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