国と原発に破壊された未来を取り戻すために 『裸のフクシマ』 たくきよしみつ著
書くべき言葉が何も思いつかなくなった。なんだかわからない涙が漏れ出てきた。その文章から引くこともままならず、足すことも難しい。思いつく言葉が次の三つの言葉だった。
- 杜撰
- 無責任
- 無念
この本を読めば、今の日本がどれだけ病んでいるかがわかる。それは、私たちよりも子供たちに多くの不幸をもたらす。それが判っていながら何もしないのは、この国を滅ぼすことになるのかもしれない。
これから日本はどうすればよいだろうか。
311から既に1年になろうとしている。そして、1年後のその日に、原発反対デモがあるらしい。
原発事故の危険性は、それが人類がこれまでに扱ったことの無いものであることだ。普通の山火事であれば消火できる。つまり物理的に消すことができる。しかし、放射能物質はそうはならないし、人類はまだその技術を持っていない。311の福島第1原発事故の放射能により土地が汚染されたことは、国家の根幹である国土を失ったに等しい。また、汚染された海によって、どのように影響がでるのかまだ誰にもわからない。4~5年後になって、やっとそれがわかるといわれている。
問題は原発そのものよりも、東電や国による杜撰な管理体制が今回の事故で露呈したことだ。そして事故後の無責任な対応だ。要するに、この前代未聞の危険物を扱えるほど、日本は大人になっていなかった、ということだろう。技術的にはレベルが高くても、日本人の政治レベルはきわめて低かった。一年やそこらで神の火を扱えるほどの大人に成長するとは到底思えない。
もしまだ読んでいなければ「裸のフクシマ」という本を是非読んでほしい。私がこの本を強く薦めるのは、原発問題について、非常に重要なことがこの本に書いてあり、おそらくそこに書いてあることは真実だからだ。子どもの将来や、日本の未来を考えるなら、是非読んでおくべきだと思う。読めば、日本の将来を彼らにあずけることができるかどうか、ある程度の判断がつくと思う。既に一部の未来は焼かれてしまった。彼らに火を与えてはならないのだ。
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