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ルール大好き日本人に告ぐ 『日本のルールは間違いだらけ』 たくきよしみつ著

日本のルールは間違いだらけ (講談社現代新書)

〓 ルールが好きですか?

 タイガー・マスクの主題歌に「ルール無用の悪党に、正義のパンチをぶっちかませっ!」なんていう歌詞がありました。子供心に、プロレス中に栓抜きとか持ち出すレスラーはやっぱり悪党だ! などと思ったものです。ルールを守らないのは悪いこと。子供はこの単純明快なルールを、ルールとして受け入れるわけですが、大人になるとどうもそうも行かないのですよね。ルール自体がおかしいとか、古くなったルールは変えなくちゃやっとか、ルールを守ったら損をするとか。
 最近も、自転車の通行ルールが改正されて、車道を無理やり走らされることになりましたね。歩道を走る自転車と歩行者の接触事故が増えていることが理由のようですが、「じゃあ、自転車は車道を走ることにしよう」って、短絡的なルールの決め方をするのは、昔から変わっていないようですよ、この国では。

 この本では、こういった、ルールに妙に従順な日本人の国民性と、頭の悪い官僚・政治家たちのコラボレーションが折りなす日本の奈落飛行を明明と映し出します。日本のルールの「変」を追及した以下の5分野を、ぜひとも堪能ください。

第一章 日本語のルールはこんなにおかしい
第二章 交通ルールのバグで殺される
第三章 性風俗は曖昧ルールの九龍城
第四章 法律はお上のご都合次第
第五章 公職選挙法という不条理

 特に、第一章には、コンピュータ表示用に規定されたJIS漢字の1%が、実は存在しない漢字であることが書かれています。理解できますか?
 具体的に書くと、「妛」という文字は、漢字としては存在しない、ということです。ではなぜここに表示できてしまうのか?
 それは、このような実際には存在しない漢字が既にJIS基本漢字として登録されているからです。iPadの大辞林を使うと、手書き文字入力でこの漢字を検索することができます。しかし、語彙の表示はありません。あたりまえです。この漢字は本来存在しないのですから。

 JISというのは工業製品の仕様と品質基準を決める日本の国家標準です。そしてコンピュータの漢字の扱いはこのJISによって最初に取り決められたのです。JIS基本漢字は6,349文字分のコードを持っているそうです。そのうちの50~100文字、つまり約1%が漢字字典に存在しない文字ということらしいです。理解できましたか? しかし、このことが理解できても、なぜそんなことが起こるのかは理解できませんよね。その理由は恥ずかしくてここには書けません。とにかく、こういった理不尽な出来事というのは、日本中のそこここで起こっている、ということなんですね。

 もうひとつ、面白いというかためになったのは、小選挙区と比例代表区の実質的な意味合いが、この本を読んでやっとわかったことです。さほど細かく書いているわけではありませんが、日本の選挙制度の本質的な問題点がどこにあるのかがよくわかりました。

 まあ、日本人としてお恥ずかしい限りの出来事ばかりなわけですが、しかし、漢字を読めない人物が過去に首相になるような国だから、しかたがないか。

失礼しました「(^^)

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