タッチ機能付きPC用ペンタブレット「WACOM Bamboo Comic」がいい
コンピュータで絵を描きたい。それは、パソコン黎明期を若いころに過ごしてきた私たちの夢だった。1990年代にコンピュータで絵を描くには、相当に高性能なマシンが必要だった。当時の非力なマシンでは、幼稚園に飾る程度の絵しか描けなかったのである。それが今はどうであろうか。ソフトウェアも安価になり、コンピュータで絵を描く環境は充分に整ったといえる。
1990年当時、私はワコム社製のArtPADⅡを使っていた。趣味的にタブレットデバイスを試していた。時はたち、娘が古ぼけたArtPADⅡを引っ張り出して使い出した。これに飽き足らず、娘がお年玉で「WACOM Bamboo Comic」を購入した。
ということで、いやはや娘のペンタブレットを使わしてもらっています。その使用感などをレポートします「(^^)
〓 本体
WACOM BAMBOO COMIC
製品型番:CTH-470/K2
大きさ:278mm×176mm×9.8mm
重さ:420g
まず見た目の第一印象は、少し大きく感じること。それと色使いがやや安っぽいです。WACOMはプロ用のタブレットも多数出しているので、差別化を図っているのでしょう。実際、本体のみの価格はAmazon価格で\6,250です(ただしタッチ機能はないようです)。
重さは、少しお重めのフルキーボードと同じくらい。大きさは一般のネットブックと同じくらいです。厚みはないので、持ち運びにかさばることはないと思います。
〓 使いがって
写真などで観ると、ペンを認識する領域が割りと広くて使いやすそうに思えますが、実際には余白の領域がかなりあります。認識領域に紙を置いてみました。あらためて見ると、全体はA3ほどの大きさがある割には、認識する領域ははがき程度の広さしかありません。少し存した気分になります。
しかし、実際に使って見ると、領域の狭さについてはさほど気になりません。絵を描く場合は、画面の表示を拡大縮小するので、画面の広さと入力領域の広さが違っていても、何の問題もないことがわかります。この感覚は、ペンタブレットで絵を描いてみないと解らないかもしれません。
〓 タッチパッドとしても機能する
BAMBOOはペンタブレットですが、タッチパッドとしても機能するように設計されています。
本体の左側にはLEDとボタンが配置されています。ボタンは全部で4つあり、それぞれにキーを割り当てることができます。ボタンの真ん中にあるLEDは、通常およびタッチパッドが機能しているときは青に光り、ペンを認識すると白く光ります。
私はこのボタンの機能を、上から「タッチ機能ON/OFF」「Ctrl+Space(拡大)」「Ctrl+ALT+Space(縮小)」「クリック」と割り当てています。拡大と縮小は付属アプリである「IllustStudio」のショートカットです。
タッチパッド機能はジェスチュアにも対応していて、2本指でピンチすると拡大するのですが、あまり反応が良くありません。タッチパッド機能は、マウスとスタイラスペンを持ち替えないための補助的な機能と考えたほうが良いようです。
タッチパッド機能は、マルチ画面でBAMBOOを利用するときは重宝します。
ペン領域の画面へのマッピングは、マルチ画面に対応していますが、形状が大きく変形するので、一画面にマッピングするほうが絵を描きやすくなります。しかし、そうすると、もう一方の画面はペンでは操作できません。この場合、ペンでは操作できないほうの画面は、マウスで操作することになりますが、タッチ機能を使えば、マウスに持ち替えずにペンを持ったまま指で操作することが可能になります。
〓 ケーブルの取り回しなど
PC本体との接続はUSBです。タブレット側のコネクタは小さなコネクタになっていますが、本体に深く入り込むように接続するので、多少の衝撃で接続部分が傷むことはないと思います。別売の無線接続キットを購入すると、ケーブルなしで利用できます。
以前のArtPADⅡなどのタブレットにはペンたてが付属していましたが、BAMBOOには付属していません。その代わり、本体に布製のホルダーがついていて、ペンを使わない場合はホルダーに装着するようになっています。しまうときに本体とペンを一緒にできるので、この方がペンたてよりも収納方法としては良いと思います。
〓 ソフトウェア
今回購入したBamboo Comicには、以下のソフトウェアが付属しています。
■Bamboo Comic 付属ソフト
◆Pixia フルセット版
多様なペンツールやフィルタ、レイヤー機能を搭載するペイントソフト。
フリーソフトです。娘はこのソフトを気に入っているようです。
◆IllustStudioMini
多彩なペンを揃え、絵を描く人に向けた各種機能満載のペイントソフト。
セルシスとう会社が販売するペイントツールの機能制限版です。印刷機能に一部制限があるようです。描画機能の制限は特にありません。
機能的にはPixiaとほぼ同等と考えてよいと思います。私はPixiaよりもこのソフトのほうが使いやすいと感じています。
セルシスでは、Web上に「使い方講座」を展開していて、たくさんのサンプル作品で描画方法を確認できるようになっています。実際に絵を描きながら、ツールの使い方を学びたいというかたは、こちらのソフトを利用した方がよいと思います。
◆ComicStudioMini
本格的なプロ仕様のマンガを描くための各種ツールをそろえたイラスト作成ソフト。
IllustStudioと同じセルシスが販売するコミック作成ソフトです。IllustStudioと違うのは、ページ単位に編集でき、コマ割を簡単につくれる点でしょうか。IllustStudioでは、1ファイル1枚の作画になりますが、こちらのソフトでは、数枚のページをあらかじめ用意可能ということです。
昔は学校に一人は漫画を自分で書いて学校に持ってくる人間がいたものです。いまは、このソフトを使うと、それなりの漫画を描けそうな気がします。
◆水彩LITE(Windows)
簡単な画面構成で、初心者でも簡単に水彩画を描くことの出来るペイントソフト。
一般に、油絵よりも水彩画のほうが難しいといわれています。なんといっても、一発で書き込まなければなりません。油絵のように修正はきかないわけです。
このソフトも使い方は簡単ですが、それなりの作品を描こうと思ったらかなり苦労するのではないかと思います。やはり現実に難しいものは、コンピュータ上でやろうとしてもやはり難しいものです。
BambooにはほかにBamboo Fanというセット製品があります。こちらは、Adobe Photoshop Elements 9(Windows/Macintosh)、Corel Painter Essentials 4(Windows/Macintosh)が付属しています。コミックは描かない、イラストを中心に描きたいという人は、こちらのほうが良い選択になると思います。イラストのみを描く人にはComicStudioは不要ですから。
上記以外に、Bamboo本体にはデフォルトで付属するソフトウェアがあります。「Bamboo Dock&apps」とうローンチ用のアプリケーションがあり、このアプリケーションから各種ツールをダウンロードするようになっています。
〓 実際に使ってみて
私はもともと美大に行きたいと思いがならデッサンを独学で学んだので、絵心はあるつもりです。だからペンタブレットにも興味を持つわけですが、油絵や水彩をPC上で実現するのは難しいということが、今回このBambooを使ってみてわかりました。
逆に、コミック系のイラストの描き方はコンピュータにもよくなじむようです。面のとり方や影のつけ方が独特ですし、もともと線画から起こすので、デジタル処理しやすい性質なのかもしれません。
最初は、レイヤーの使い方が判らず、なかなか先に進めなかったのですが、セルシスのサイトをみながら実際の作品を作っていくと、紙に絵を描く場合に実現できない便利な機能であることがわかります。
もし、イラストや絵画に興味があり、たとえば油を描いたことがある方なら、Bamboo Fanの購入を検討するのも良いかもしれません。油絵とは違う新しい世界が待っていると思います。
私が使っているPCの環境をここで紹介しておきます。PC上で絵を描こうと思うのなら、とにかく画面は大きいほうが良いです。逆にPC本体のほうはそれほどハイスペックでなくとも大丈夫なようです。最近のPCは動画やモデリングの編集ができるくらいハイスペックなので、二次元静止画の処理については全く余裕で処理できるようです。よほど古いPCでない限り、殆どPCのスペックは気にする必要はないでしょう。
PC:Dell Dimension 5100C
Intel Pentium4 3.0GHz, Memory 1GB
Monitor : #1:CRODO ACP221WM(22インチWSXGA1680×1050)
#2:iiyama 15NE2(15インチXGAポーレート768×1024)
〓 描いてみた
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