簿記・会計に関する書籍3冊 『グーグル会計学』他
簿記2級の試験を受けた。ダメだった。
ところで、その試験を受けるに当たって、もう少し一般的な概念を知ろうと思い、図書館で3冊の本を見繕って読んでみた。それぞれに特徴的な本である。それなりに面白かったし役にも立ったように思えるので、ここで紹介しておこうと思う。
1.『グーグル会計学』 柴山政行著
副題:不況でもライバルに勝てる新会計学入門
グーグルという特殊な企業の会計はどのように処理されているのか。この本を読めば、グーグルのこともある程度の解るし、会計処理の要諦も解るという寸法である。グーグルという面白い企業を題材に、会計学を面白く学ぼうというのがテーマらしい。
とは言うものの、お話の中心は会計学である。グーグルの財務諸表がバンバン出てくるので、最初から会計学に興味がない人は、別な一般のグーグル本を読んだ方がよいだろう。そこでグーグルそのものに対する興味がわいて、さらに財務的にグーグルってどうなのよ!という興味がわいた人にお勧めの本である。
それにしても、2008年の決算であるが、グーグル売り上げ1ドル90円換算で約1兆9616億円、利益率が60.4%とうから、巨大にして高効率な企業であることが解る。
ちなみに、著者の前作には『グーグル経済学』という本もあるらしい。
2.『ボックスを使えば会計はこんなにカンタン!』 鈴木克俊著
副題:簿記の基本から決算書のしくみまで
簿記をかじった人ならだれでも、簿記の土台が「資産、負債、純資産」と「費用、収益」で成り立っていることを知っているはず。突き詰めると、すべての数字はこの枠内に入るわけである。そして、この枠内に数字を入れるときに科目を設定し、左右が金額的に対象になるようにする。これがまさに簿記が行っていること。
細かい数字の動きを見る前に、この枠を使って大まかな処理とその結果を考えよう、というのがこの本の趣旨のようだ。たしかに、今まで理解が及んでいなかった部分について、納得がいく説明がある。たとえば、「支払い保険料」から「前払い保険料」を差し引く処理。これをやると、費用が減って、資産が増える。すると利益が増えると言うこと。この様子が視覚的に解るようになる。
特に面白いのは第4章。この章では、不正経理の手口が書いてある。ただしこの知識は、役には立たない。というか、立ててはいけないのだが・・・。
私のように、簿記試験をパターンだけ中途半端に覚えていて、なかなかゴールに行き着かないひとにはおすすめである。まあそういう人は稀だと思うのだが。
3.『「図解」会計の仕組み』 波光史成著
会計学を優しく説いた本。簿記の範囲を超えているけど、簿記の必要性や全体像をつかむには良い本だと思う。それと、この3冊のなかではオーソドックスな本であり、簿記の知識を実務で役立てようと思ったら、この本を読むのが一番良い。と思う。
この本はすべての解説に対して図解がついているのが特徴。それと、比較的新しい本なので、キャッシュフロー、IFRS、CVP分析などの概説が載っている。それでも私にとっては敷居が高いのも事実。一回読んだだけでは理解に及ばないことは明白だったりする。広く浅い知識を獲得することになるから、ここから必要な会計知識の入り口を発見するのが良いと思う。
私の場合は、経理や財務のセクションではなく、インフラ投資に関わるセクションなので、原価計算やCVP分析について書いた第11章が役に立ちそうであった。特に「責任センター」という考え方が印象に残っている。この考え方は、コストセンター、プロフィットセンター、インベストメントセンター、の3つのセクションに分けて、それぞれの業績評価基準について説明している。私の場合は、インベストメントセンターに該当するワケだ。自分自身の評価基準にも該当するわけだから、今後どのように業務を遂行すべきか、その大枠が明確になったのはありがたい。つまり、現在私が獲得した中途半端な簿記の知識を生かすとしたら、この業績評価基準に沿って業務を遂行すれば良いのである。
ということが解れば、あとはそれに類する書籍を漁るのが、この本を読んだ後にやるべきこととなるだろう。で、どんな本を読むべきか? 実はこれから探すのであった。
ちなみに、であるが、今は『会計の基本~この1冊ですべてわかる~』という本を読んでいる。この本には各章の最後に推薦図書が書いてあるのだ。必要な書籍を手繰るにはこちらの本のほうが良いのかも。副題の矛盾については…。
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