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この変わらなさがすごい 『ケンコー書見台』 レイメイ藤井

〓 昔のことで記憶が定かではないほど古いもの

 じつは、私は書評を書く前に読んだ本の要所をEvernoteに転記している。時にはiPadで、時にはネットブックで、あるいは気が向いたときは7notesを使って手書きで転記したりもする。そんな時に活躍するのが書見台(しょみだい)というやつだ。つまりこいつは目立たないが結構重要な脇役だったりするわけだ。もちろん主役は本。
 ところが、このケンコー書見台、私が小学生の時から使っていた記憶がある。形も今と全く変わらない。発売されたのは1961年らしいから、もうかれこれ半世紀もの間、形を変えずに売れ続けているという驚異的なロングセラーである。

 今年高校生になった私の娘が、このケンコー書見台を欲しがった。そこで、Amazonでもっと良い書見台がないかと、早速探してみた。ご多分にもれず、男親は娘に甘いのである。
 すると、書見台はけっこう存在することが分かった。いろいろな形があるのだが、その中にこれはと思うものを見つけてよく調べてみた。するとどうだろう、これが今使っている書見台のメーカー「レイメイ藤井」が作っているのだ。相変わらずシンプルな構造であり、使い勝手も良さそうだ。今使っている書見台と同じものにしようかと少し迷ったが、デザインが気に入って新しいタイプの書見台「レイメイ藤井 ブックメイト」を購入することに決めた。娘から大いに感謝されたことは言うまでもない。

 ところで、このケンコー書見台もさぞかしロングセラーとして有名なのではないかと思い、再びネット上で検索してみた。ところが、このことを話題にする記事はあまりなく、うっすらと寂しい思いをしただけだった。ただひとつ、「文マガ」というマイナーそうなサイトが2011年に「レイメイ藤井」の記事を掲載していた。
 このレイメイ藤井と言う会社自体は明治に熊本で和紙を販売したのが創業らしい。いわゆる老舗に近い企業であり最近ではペン型ハサミ「PENCUT」を発売して、これが結構売れているという。文具が好きな私としては、ちょっと気になる。

 「ケンコー書見台」というのは、なんだか限りなくマイナーな道具なのだが、よくよく細部を見ると改めてその完成度の高さに驚かされる。とともに、小さな企業の積み重ねによってロングセラーを続けているとても希少な製品だと思う。

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新旧の製品を並べたところ。
左が昔からある書見台。右が新製品。
裏側はどちらもフェルトが貼ってあり、
傷つきにくく滑りにくい。
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斜め前から見たところ 斜め後ろから見たところ。
新しい製品は角度が段階的に変わる。
古い製品は無段変則的に角度を変えられる。
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実際に本を挟んでみたところ。
左が新しい書見台に新書、
右が古い書見台に単行本。
今度は逆に、左が新しい書見台に単行本、
右が古い書見台に新書。
新書はページが狭いので多少抑えにくい。

古い製品は既に製造していないのかと思ったら、どちらの製品も購入できるようです。ついでにPENCUTなる製品も紹介しておきます。

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