『ビジネス実務法務検定2級』を受けてきました
だいぶん以前のことではあるが、昨年末、つまり2014年12月7日に「ビジネス実務法務検2級(R)検定試験」なるものを受験してきた。この資格、おそらく商工会議所としては簿記検定に続く資格試験として定着させたいところなのであろうが、あまり知名度はないようだ。今回は36回目という歴史の浅さもあるかもしれない。そもそも受験者の人数も少なく、ゆえに私の受験場所は武蔵野商工会議所のビルの中であった。
実際の受験人数は一昨年(2013年)の実績で、14,173人、合格者数は6,469人、合格率は45.6%である。つまり受験者の半数近くが合格する試験なのである。最初はこのデータをみて、思いっきり高をくくっていた。しかし、実際に受験勉強を始めると、これはなかなか手ごわい試験なのである。
問題は、問題自体の難易度ではない。とにかく読み解くための文章量が多いのだ。速読ができる人には、この試験は大いに有利かも知れない。しかし、普通のスピードで読んでいては、おそらく回答時間を使いきってしまうはずだ。
設問の数量は、全部で40問。その40問にはそれぞれ5つの選択肢がある。個々の選択肢に対して正誤を判断しなければならない。したがって、試験にあたっては、200の文章を読み進みながら正誤の判断を繰り返すことになる。
制限時間は2時間、1文につき持ち時間は36秒である。一般的な読書スピードは1分間に800文字と言われている。36秒あれば400文字くらいは読めるだろう。実際の問題文は一つの選択肢が150文字程度で構成されている。なんだか余裕があるようにも思えるが、考えながら読むからそれなりに時間がかかる。繰り返し読まなければ理解できないものあったりする。だから時間が足りなくなるのだ。
ちなみに、今回私が回答に要した時間は105分。そして、マークシート回答用紙への転記に5分かかり、残った時間は15分だった。残りの10分間で見直しを行い、1問修正をした。この修正が功を奏して、自己採点では70点である。転記にミスがければ合格かも知れないが、転記ミスを確認する時間がなかったから自信がない。後は座して待つのみといったところか。
さて、この資格試験の学習方法は実にオーソドックスなものとなる。用意するのは過去問題集と参考書をそれぞれ一冊でよい。問題集はネイティブに中央経済社が発行する「ビジネス実務法務検定試験 2級公式問題集」が良いとされている。この本には過去3回分の問題と、カテゴリーごとの独自問題集が掲載されている。
参考書の方は、もし論点をネットで調べるつもりなら、なくても大丈夫。しかし、法律は複雑だ。単に問題を解いて不明な点を場当たり的に消化していたのでは、その周辺からの出題には対応できなくなってしまう。だから、やはり参考書があったほうが良い。先の公式問題集にはセットで販売されている参考書への参照先が書かれている。本来であれば、公式問題集と参考書をセットで購入するのがよい。
やはり問題集だけでは心許ない。そこで私は、参考書を追加買いすることにした。書店で公式テキストを他社のテキストと見比べてみた。と、どうも買うつもりだった公式テキストは見栄えがしない。如何にも読みづらい。イラストなどはほとんどない。隣にあった公式ではないテキストと開いてみるとどうやらこちらの方が分かりやすそうであった。ということで、私は翔泳社の『ビジネス実務法務検定試験(R)2級 完全合格テキスト』を購入することにした。
実はこの参考書を購入した理由はもう一つあった。リアルの書店では買わずにAmazonで調べると、なんと珍しいことにKindle版が売られていたのだ。しかも値段は紙版の半額である。Amazonサイトに一件だけついていたコメントには「この本は読みづらくイラストもない」と書いてあったが、これは間違いだ。少なくとも私が書店で他の参考書と比べた限りでは最も読みやすそうだった。もちろん即決で購入した。
そもそも分厚い参考書を持ち歩くのは辛い。それに、この参考書を辞書的に使うつもりはなく、読み物として読んでみたかったのだ。その方が立体的に知識を習得できる。この本はうまくまとめられていて、読んでいて飽きることはなかった。イラストも必要十分に掲載されている。電子書籍なら、試験後もいつでも取り出して読むことができる。いわゆる実務上の参考書としてはすこぶる良い。
もちろん、電子書籍であることによる欠点もある。この唯一のKindle版参考書はテキストデータを持っていないのだ。もちろんリンク情報も掲載されていなければ、重要箇所にマーキングしたり、通常のKindleでは可能な栞をつけることもできない。コメントを追記することも、メモをつけることもできないのだ。それでも、iPadに入れて常に持ち歩くことができる利点は大きい。受験の時のみ、一時しか使わないということであれば紙版で十分であるが、今後も常に持ち歩き必要な時に参照できるということを考えれば、Kindle版の方が利用価値がはるかに大きいのだ。
結論を述べると、ビジネス実務法務検定2級を受けるなら、参考書としては翔泳社のものがおすすめである。ただし一点だけ非常に残念なことがある。それは、Kindle版の値段がなぜか半額ではなく紙版とほぼ同じ値段になってしまったことだ。そして、最新版の2015年版はKindle版が出版されるのかわからないのである。いつか最新のKindle版が再び半額で販売されることを願ってやまない。
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