私、ヘッドフォンに関してはSonyもしくはAudioTechnica。しかし、最近はSony派に傾きつつあります。もちろん、Sonyにも欠点があって、どうもケーブルがヤワなんですね。そんなこともあって、3年ほど前に購入したノイズキャンセリングヘッドフォン「MDR-NC33」のケーブルが断線、まだ両耳の音は聞こえるものの、ノイズキャンセル機能が効かなくなってしまいました。
そこで、同じSonyでいろいろ物色していると、なんと、Bluetooth(BT)、かつ、ノイズキャンセル(NC)機能付きのヘッドフォンがありましたよ。もともと、BT機能にも引きつけられていて、NC機能付きとどちらが良いか、なんて検討していたので、これは願ったりに叶ったりです。しかも値段がとっても手頃。なんと二つの機能がついて6,000円です。
通常であればまず電気店に行って視聴してそれから購入に踏み切るのですが、ここは一気にポチリモードに。まだエージングは完了していないのですが、最近ヘッドフォンで聞くときはほとんど音声ポッドキャストなので音質はあまり気にしていません。まあ、音質が良ければそれに越したことはないのですが。
ということで、自宅に到着したヘッドフォンを試して見た結果をレポートします。
〓ノイズキャンセル効果は?
私は通勤中にほとんど音声ポッドキャストを聞いているので、少しでも雑音を減らしたい。以前使っていた「MDR-NC33」は、アナログノイズキャンセリングでしたが、今回購入した「MDR-NWBT20N」はデジタルノイズキャンセリングになっています。性能的には、だいたい80%くらいは雑音を削減できているのではないかと思います(カタログ性能では98%となっています)。エアコンの音などはほぼ完ぺきに消えるといってよいでしょう。他方、人の話す声や不規則音は半減して聞こえます。私としてはその方があり難い。全く無音というのはいくらなんでも不安になりますから。
例えば殊勝にも、私は時々食器洗いをするのですが、そういった時はポッドキャストを聞きながらのことが多いのです。このような皿洗いの場面ではBT機能とNC機能の両方が思わぬ効果を発揮します。一つは、BT機能によりiPhoneを身に着けなくても良いし、同時にケーブルが邪魔にならない。そして、NC機能により水道の音がキャンセルされ小さい音でも音声を聞きわけることができます(水道の音は30%くらいしかカットされません)。かつ、家族が私を呼ぶ声もちゃんと聴き分けることができます。そのうちポッドキャストを聴くために皿洗いをするなんてことになるかもしれません。
ちなみにこの「MDR-NWBT20N」には、AIノイズキャンセリング機能というものが追加されています。[AI NC]のスイッチをオンにすると、その時点での周りの騒音の状況を解析して最適なノイズキャンリングアルゴリズムを適用してくれるようです。
〓通常の音質は?
音質は丸みのある柔らかい感じの音です。特にどんシャリということはありません。アコースティックやボーカル向きだと思います。ボーカルは少し後ろに引いいた感じに聞こえますが、この辺はまだエージングが済んでいないのでなんとも言えません。しかし、そもそもこのイヤホンは形状も機構もSony Network Walkman専用のものと同じものだとするなら、それなりの音質を保っているものと考えるのが妥当でしょう。ただしBTによる音質低下というのはあるかもしれません。
音楽を聴く場合のNCの有効性については、喫茶店などでも発揮されそうです。例えば、隣におじさん集団が座りガハハ笑に堪えられなくなった時は、このNC機能をオンにすることで彼らを10メートルほど遠ざけてくれます。同時にそれまでは気づかなかった空調などの音もかき消えて、目をつぶれば音楽に集中することが可能となるでしょう。そんな時に、もし美しい女性が声を掛けてきても、彼女の声はあなたにきちんと届くはずです。目を開けた時に見えたものが嗄れたおばさんではないことを祈ります。
〓装着感は?
BTレシーバー本体は非常に軽いです。カタログスペックでは17g、たぶんイヤホンも含んでのことと思われるので、本体は12g程度かと。だとすると単4電池1本と同じくらいですね。BTレシーバーのクリップが外れて落下しても、イヤピースが耳から外れることはないでしょう。クリップのバネもそこそこ強いのでシャツの解禁部や、Tシャツであれば袖につけてもそうそう落ちることはなさそうです。
イヤピースの装着感はMDR-NC33と同様です。カナル型であり形状はほぼ同じ。コードを保護するラバー部分が少し短くなっています。プラグから左耳のイヤピースまでのコードの長さは40cmでちょうどよい長さといえそうです。
〓BTレシーバー機能は?
BTレシーバーのスイッチとして、再生停止、ボリューム、前後曲へのジャンプの三つの機能があります。iPhoneではどれも正しく機能しました。特にiPhoneをバックに入れて持ち歩く人にとっては、これはよい機能だと思います。どのスイッチもそれなりに使いやすい設計ではありますが、たまに意図しない音楽の切り替わりがありました。各スイッチを無効にするホールドスイッチがあるので、通常はホールド状態にした方がよいかもしれません。
BTレシーバとiPhone等との接続は簡単にできます。BTレシーバー本体のスイッチをON側に7秒間スライドし続けると、iPhone側の[設定/Bluetooth]にMDR-NWのデバイスが表示されるので、その表示をタップするだけです。一度接続すると、以降はBTレシーバの電源ON/OFFがイヤホンプラグの抜き差しと同じになります。
BTレシーバーとiPhoneとの接続可能距離はカタログ値で10mとなっています。屋内であれば特に不自由はない距離です。
〓その他の機能
▲音質/通信の優先度切り替え
iPhoneなどの本体が遠い位置にあるとき等、BTの接続性を優先させたいときに使用します。
▲早送り/巻き戻し
途中の聞き逃しを手元で巻き戻し再生することができます。
▲BT機器をワンタッチで接続(NFC)
接続する機器にNFC機能があれば、ワンタッチでペアリングすることができます。
▲AIノイズキャンセリング
室内から屋外など、周囲の騒音環境が変わった時に、適切なNCモード(A~C)を選択します。Aは路上など、Bは電車の中、Cはオフィスに適合するモード設定のようです。
〓気になる点?
単4電池で駆動するMDR-NC33と異なり、この製品は内臓バッテリーで駆動します。持続時間はNCオンで8時間、NCオフでは9.5時間となっており、一週間に一回の充電をすれば十分でしょう。また充電時間も約2時間となっているので、15分充電すれば1時間は持つ計算です。朝方電池が切れていたとしても、それほど問題になることはないと思います。もっともモバイルバッテリーを持っていれば、NC本体の充電用USBミニプラグから充電できるため、バッテリーの持ちに関してはほとんど心配いらないでしょう。
NCを機能させるためのイヤホンはMDR-NW専用なので、ケーブルが断線したときの対策が必要と思われます。純正のイヤホンは型番が「MDR-NC31SP」となっており販売価格はAmazonで3,000円からになります。
もしNC機能が必要ないのであれば、他メーカーのイヤホンでも大丈夫です。逆に付属の専用イヤホンを直接iPhoneに接続した場合は片側の音は聞こえません。これはプラグの接点によるものだと思います。
〓その他の使われ方
以上で大体の説明は終わりなのですが、もう一つだけこの機器の使われ方で「これはいい!」と言えそうなものをご紹介。それは、オーディオ機器に接続して、通常のBTトランスミッター的な使い方ができるということ。もちろんNC機能はオフにします。いままでは、iPhoneを直接オーディオスピーカーのプラグに接続してジャズなどを聞いていたのですが、この「MDR-NWBT20N」のBTレシーバーを接続すれば、iPhoneを手元に置いて音楽を楽しめるという寸法です。うむ、これは実に良いです。よく考えたら、これをやりたいがために、何度かオーディオ用BTレシーバの購入を検討したのですが、もう購入は必要ないですね。
〓総合的には
この製品は値段を考えると物凄く良い製品だと思います。思わず追加でホワイトを購入してしまいました。どうやらホワイトの方が少しだけ高級な感じがするようです、という思い込みに浸ることができました。
この製品により以下のことが解消されます。
1.ケーブルの取り回しによるわずらわしさから解放される
たとえば、会社の社屋に入る際に、今までであればケーブルを巻いて背広の内ポケットにしまっていたが、これからはイヤピースを内ポケットに放り込むだけで済みそう。
2.毎日の通勤電車の中で車両の音を気にせず聞ける
特に音声ポッドキャストを聞くときは、車両の音で聞き取りにくいことがしばしばあったが、このヘッドフォンで聞けばそういったこともなくなる。
ただし、イヤホンケーブルの断線には注意が必要です。特に冬場に固くなったケーブルを巻き付けると割れてしまうことがあります。また左右のピースとの接点、それと左右に分岐する接点は断線しやすく、日ごろから優しく扱う必要がありそうです。これは殆どのヘッドフォンについて言えることですが、ヘッドフォンが消耗品であるのはおそらくヤワなケーブルと乱暴な取り扱いに原因があるのだと思います。いずれケーブルのないヘッドフォンも発売されるのでしょうが、その時までケーブルを優しく扱う必要がありそうです。
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